ニュースを見ていた私の前に「日本でつい先ほど、かなり大きな地震が発生しました。」と緊急速報が流れました。
それから数十分後、スクリーンに映し出された映像を今でも忘れることが出来ません。
巨大な津波が町や村を飲み込んでいく場面でした。
「これは映画のシーン?」「現実のはずがない・・」と混乱していた私。
これが、太平洋の向こう側の日本で、今リアルタイムで起こっている出来事なのだと理解するのにかなり時間がかかりました。
一瞬にして全てが変わってしまうこと。
一瞬で何もかもを失ってしまうこと。
そんな瞬間が、あるのだと知りました。
あれから2年余り。
アメリカで暮らしていると、復興がどの程度進んでいるのかがよくわかりません。
震災の事も記憶からだんだん薄れ、消え去りつつあります。
そんな時、一冊の本に出逢いました。
「南三陸町からの手紙」
被災した方々がまだ心身の傷が癒えていない震災の数ヵ月後に、1人1人の想いを書き綴った48編の文集です。
この本に出逢った瞬間に、「同じ日本人として知っておくべきこと。」だと思い、購入しました。
1人1人の震災直後の体験を文字で追っていくと、ニュースで見たのとはまた違った観点から震災を捉える事が出来ます。
生と死は紙一重だったこと
津波の水に流されながらも九死に一生を得た命。
とっさの判断で津波を免れた方々。
何が起こったかもわからずに避難し、後でその現状を知った時の絶望感と憤り。
家を流され、家族の安否もわからない、誰にもぶつける事が出来ない大自然への怒りと悲しみ。
本当に辛いときは泣く事も出来ない。
本当に悲しい時には誰にも話す事が出来ない。
そんな時期を乗り越え、少しずつ復興に向けて歩みだした方々。
心の奥底から振り絞るように、あの日何が起こったのか、どうやって生き延びたのか・・を、それぞれの想いで語ってくださっています。
本の表紙の帯の部分には地震発生の前の平和な南三陸町の姿が写し出されています。
この写真2枚だけを見ても心が痛くなります。
この2枚を息子に見せたら、怒りだしました。
「ダメ~!」
こんなことが起こってはダメなのだそうです。
「でも自然の力には逆らえないよ。」と言うと、
「また作り直す・・」と答えました。
「お金が要るなら、また僕が集める。」と言います。
震災後に息子が通う学校に寄付を呼びかけたことを覚えていました。
「お金よりももっと大切なことがあるの・・」と私は息子に言いました。
「それはね、このことを忘れない事。そして今家や町を建て直している人達を応援することだと思うよ。」と伝えます。
「じゃあ、僕その人達に手紙を書くよ・・」と私の目を見て息子が言いました。
その気持ちが嬉しかったです。
先月5月20日にオクラホマ州で竜巻があり、約2400棟の家が崩壊し3万人の被害者が出ました。
自然の驚異は計り知れません。
竜巻、地震、津波、土砂崩れ、台風、干ばつ・・・
自然を共有し、この地球で生かされている私達。
自然災害はいつやってくるかわかりません。
でも私達は自然の偉大な恩恵を受けているのも事実です。
この地球で、自然の下で暮らしている人間というのは小さい存在なのかもしれません。
それでも1人1人が『今』と言う時間を精一杯生きています。
「南三陸町からの手紙」を読んで、人の命の儚さと尊さ、人の心の脆さと強さを、ずっしりと、どっしりと受け取りました。
生かされている命を大切にして、逝ってしまった方々の分まで生きようとする姿に心を打たれ、エネルギーを戴きました。
自然災害で犠牲になった方々のご冥福を心からお祈りすると共に、被害を受けた方々の復興を影ながら応援しています。
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