冬は氷で閉ざされるほど寒い場所に位置する湖なのに、この冬は凍っていないらしい。
昼過ぎから雨が降る予報で、暗い雲に覆われている。
夏にいっぱいになる駐車スペースには車は一台も停まっていない。
静まり返った湖の畔を友達と歩いてみた。
風が強くて息が出来ないくらい・・
まるで竜神が棲んでいるかのように、いつものキラキラした湖とは全く違っていた。
地面にしっかりと足をつけていないと強い風に吹き飛ばされそうだ。
「だからグラウンディングが必要なのよね・・」
友達がふと呟く。
風が吹いても、何が起きても、揺るぎない自分を持っていれば倒れない。
彼女はそう言いたかったみたいだった。
ほんまにそうやわ~
湖畔に立っている樹々は、根っこを地面に長く伸ばして自分自身を支えている。
すごいなあ~~
樹のマネをしてしばらく立ってみた。
こんな風に負けるもんかーー。
でも10分で断念。
私は人間。
寒い・・
友達と車に乗り込んだ。
「あ~寒かった・・」
キャッスルレイクを出てしばらく走るとビューポイントでシャスタ山の端っこが見えた。
ちょっと写真を撮ろうか・・と車を停め、また外に出る。
黒い雲の下に雪を抱いたマウントシャスタが居座っている。
あんまり見えへんな~
そう思っていると、だんだん黒い雲がどこかに消え去り、山の全貌が姿を現した。
ラッキー・・
神々しい存在。
バーニーフラットでは近すぎてわからなかったその尊大さが、遠くから眺めることによって初めて理解出来る。
寒さも忘れて、その偉大な風景に見入っていた。
たかが山。
されど山。
そこに存在するだけで大きな感動とエネルギーを与えてくれる。
来てよかった~
「また来ようね・・」
友達とそう呟きながら帰路に着いた。