2016年12月18日日曜日

性別を選ぶ子供達

13歳のナンシーはあることで悩んでいました。
誰に打ち明けることも出来ず1人で苦しんだそうです。
ある日手首を切って自殺を図りました。
幸いにも未遂で済み、やっとのことで自分の悩みを家族に相談することが出来ました。
家族のアドバイスとサポートを得て、ナンシーは少しずつ笑顔を取り戻しました。
苦渋の末のナンシーの決断は、周りにとっては思いもかけないものでした。

・ー・ー・
3週間前のこと。
「女友達のナンシーが性別を変えたよ。」と7thグレード(中学1年生)の息子が話してきました。

ナンシーはおとなしくポッチャリとした可愛い女の子です。
その話を聞いてびっくりしました。

「ええ!? ナンシーは男の子になったの?」と聞くと
「違うよ。男でも女でもない中性(Agender)を選んだんだよ。」という返事。

自分が「女性」であることに違和感を感じ、ずっと悩んでいた様子だったそうです。
みんなに性別変更の決意を公表し、名前をナンシーからトゥディに変えました。

この決意に対する学校の対応はとてもオープンでした。
“個人をまるごと受け入れる”
"批判もジャッジもしない”
先生を始め、クラスメイト達はトゥディの決意を温かく受け容れたそうです。

その話に付随して、息子が以下のことを熱心に話してくれました。

英語では『性別』を表す単語は2種類あり
身体的性別(身体の作りによって決まる性別)=sex
意識的な性別(個人の意識によって決める性別)=gender
に分けられます。

一般的には身体的性別と意識的な性別が同じですが、これに付随しない人達も存在します。

Transgender と言うのは“身体的性別と意識的な性別が一致していない人”のこと。
身体の作りは男性なのに意識は女性である人やその逆もあり、ゲイやレズビアンと呼ばれています。

トゥディの場合はこれに当てはまらず Agender になります。
Agenderとは「性別がない状態」
(ジェンダーレスと呼ばれています)

トゥディを英語の三人称で呼ぶ場合に「She」や「He」は使えません。
一人でも「They」と呼んでいるそうです。

「この単語の意味は全部学校が教えてくれたの?」と聞くと
「学校はそこまで教えてくれなかったけど、ナンシーと仲が良かったからわからない意味をもっと知りたくて自分で調べたんだ。」
「すごいね〜」
「いろんなことがよくわかって、トゥディのことをもっと応援したいと思ったよ。」

息子の口から性別を表現する2つの単語の違いや「Transgender」と「Agender」 の説明を聞き、私が知らないことを息子が知っていることに驚きました。
息子も成長したものです。
友達の変容を尊重し、何のためらいもなくこのことを私と話せる息子に感動してしまいました。


おとといのこと。
「隣のクラスのローズが性別を変えたよ。」
「あの背が高くてボーイッシュな女の子?」
「うん、名前はジョルダン。」
「男の子になったの?」
「ううん、ジョルダンもAgender なんだ。」

トゥディもジョルダンも、自分が生まれながらにもった性別と意識からくる性別の違いに悩んだのだと思います。
その葛藤から本人が決断を下し、家族がサポートし、社会が受け入れ温かく見守る。

この器の広さと温かさは「さすがアメリカ!」だと感じました。


注)本文中の名前は仮名を使用しました。


* 冒頭に一部追記を加えました(12/19)



有難うございます。




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