2015年3月22日日曜日

新月の儀式・スエットロッジ

新月の翌日、日食が起こった春分の日。
サンタクルーズの山の中の神聖な儀式に参加した。

Women's Sweat Lodge

女性の参加者達で執り行われるネイティブの浄化の儀式。

行ったことがない場所。
逢ったことがない人達。
16年ぶりのスエットロッジ。
ちょっと不安・・

でもこの特別な日に「私はそこに居たい」と思い、1人で参加した。

1時間以上のドライブで、その半分はくねくねと曲がる山道。
運転が得意でない私はノロノロと車を走らせ、なんとか到着。

リーダーに挨拶をし、他のメンバーにも自己紹介をする。
朝9時、ファイアーセレモニーが始まった。

「今日は特別な日です。新月の翌日、先ほど日食があり、そして春分の日。パワフルなエネルギーに満ち溢れています。春分の日はネイティブ達にとっては"NEW BEGINING(始まり)"の日です。そんな日にここに集まったあなた達1人1人が特別なのよ。」とリーダーが言った。

全員で春の方角・東に向かって、感謝のお祈りをする。
その方角には、輝く太陽が私達に光を投げかけていた。



ロッジの前に並べられている火山岩を選び、ファイアープレイスの中心に置いていく。
5kg~10kg の大きな石が30個ぐらい並べられた。
4つの方角と、空と、地上のスピリットに敬意を示し、この日の自分の気持ちをみんなと分かち合い、煙草の葉を石の上に撒く。
薪を並べ、火をともし、お祈りをして火のスピリットと石のスピリットを招き入れる。
たちまち炎があがり、火が石達を温め、熱くする。



石を燃やしている間に、軽食を摂ったり、カードを引いたり、タバコタイズを作る。
タバコタイズとは7種類の違うカラーの布切れに煙草の葉を詰め、その葉と一緒に自分の祈りを込めて、小さなてるてる坊主を作るように糸にぶらさげていく。
セレモニー中はロッジの中にぶら下げて、その祈りがかなうようにスピリットにお願いをし、セレモニーが終わると火にくべて燃やしてしまう。

タバコタイズを作った後に、メディスンカードを一枚引いた。
何十枚もあるカードの中から私が引いたのは「Sweat Lodge(浄化)」だった。



「あら~すごい!」「本当にこの儀式が必要なのね。」とみんなが口々に言う。
「そうみたいね・・」と笑って答えた。

午後1時。
「さあ、セレモニーを始めましょう。」
リーダーの声で、1人ずつロッジの中に入る。
時計回りに進んで空いた場所に座る。
17人の女性がその中に座った。

焼けた石達がセンターに運ばれてきた。
ロッジの中がだんだん暑くなってくる。

ドアが閉められ、中は真っ暗になった。
リーダーがメディスンを石の上に振り掛け、ハーブの匂いがロッジ内に立ち込める。
神聖な香りに包まれる中、1人1人が自分の願いや意志を声に出していく。

暗闇の中、自分が目を開けているのか閉じているのかがわからなくなる。
リーダーが焼けた石に水をかける度に蒸気が充満していく。
スチームサウナ状態で、汗がタラタラと流れる。

どれだけ時間がたったのだろう。
よくやく第1ラウンドが終わり、ドアが開けられた。
清々しい空気がロッジの中に流れ込む。
お水が配られ、みんながゴクゴクと言葉もなく飲み干す。

「じゃあ、次のラウンドに行くわよ。」と言うリーダーの声で、焼けた石が更に運ばれ、ドアが閉められる。

他の種類のメディスンが石の上に注がれて、新たな香りに包まれた。
さっきとは違う願いや意志を口に出して伝え、祈りの歌を歌う。

暗闇に慣れてきたせいが、自分の周りに光がボーっと見えるようになってきた。
全体ではなく、ところどころがかすかに光っている感じだ。
スピリットがそこに居る・・ような気がした。

ドアが開けられ第2ラウンドが終了。
また水を飲み、しばらく休憩。

こんな感じで第4ラウンドまで続いた。

暑かった。
ただひたすら暑かった。
汗をいっぱいかいた。
ちょっと泣いた。

滞っていた感情が奥から出て来た。
恐れ、傷、怒り、罪悪感・・
普段は気にしていない感情や想いが、ロッジの中ではどんどん溢れてくる。
それが汗や涙と一緒になって、私の中から解き放たれる。
「全部リリースしなさい・・」とスピリットが囁く。

要らないものを手放した分だけ、自分の中にスペースが出来る。
そのスペースに今の私に必要なものが入ってくる。
愛、感謝、受容、自信・・

だんだんと自分はいったいどこにいるのかわからなくなった。
異次元にいるような感覚。
不思議で、満ち足りた気分。

スエットロッジは母親(Mother Earth)の胎内であるロッジの中で浄化をして、REBIRTH(再生)する儀式だと言われている。




第4ラウンドが終わり、暗闇の世界から光の世界へと静かに移動する。
時計を見ると午後5時。
時間の感覚が全くなかったけれど、4時間に渡る儀式だった。

濡れた服を着替え、全員が輪になって締めくくりの言葉を一言ずつ伝えた。
それぞれが何かをリリースし、何かを受け取り、すっきりとした顔で微笑みを浮かべている。
「生まれ変わった」・・そんな感覚。
身体がとっても軽い。

リーダーにお礼を言い、ハグをして分かれた。

帰りのドライブ中に、スカイラインから見た景色に心を打たれた。
雲海の向こうに見える太平洋。
その上に輝く西の太陽。
朝の太陽とは違った光が、空と海と地上に放たれている。
言葉にならないほど美しい風景だった。




この素晴らしい地球に存在していることに感謝して、今日のこの体験に感謝して、
満たされた気分で戻ってきた。

ありがとうございます。






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